施設や居宅での訪問歯科診療は、座位で行うことが多くあります。診療補助者(アシスタント)は片手でバキュームを用い口腔内の水分を吸引しながら、もう一方の手でさまざまな介助を行います。しかしどんなに気をつけていても不意に口から水が溢れ、患者さんの服や床を濡らしてしまうことがあります。それを予防するために、ガーグルベースンを顎の下に添えることがありますが、これをしてしまうと両手が塞がってしまい、器具の受け渡しや材料の準備などの補助ができなくなってしまいます。また患者さんがうがいをする時に、高齢であったり麻酔をしていることなどにより、口の周りの筋肉が動きにくく、顎に水が垂れてしまうことがあります。服が濡れた場合は、ご家族やヘルパーさんの着替えの手間が増えてしまいます。また、歯科医師が切削中に吸引しきれなかった水が口腔から溢れ、患者さんが反射的に動いて危険な場合があります。エプロンは首に密着していないので、口から顎、首を伝った水を吸い取ることはできません。そのため、私たちは顎から水が溢れても顎で吸水し、それより下に流れないようにする方法を考えてきました。
2年間の試行錯誤の末、出来上がったのが「口腔ケアパット かばちん」です。口腔から溢れる水を顎で吸水してしまいますので、ガーグルベースンを添える必要がありません。その分口腔内やアシスタントワークに集中することができます。また、「かばちん」を貼ることで患者さんには水が溢れた感覚が分かりにくくなりますので、急な体動も防ぐことができます。
訪問歯科診療だけでなく、診療室において口唇圧の高い患者さんやブラッシング指導の赤染の際に、また介護分野での食事介助や口腔ケアなどさまざまな場面でお使い頂けたらと思います。
貼り付ける部位が濡れている時は、水分を拭き取ってください。汗やファンデーションで、つきにくくなります。 | |
口を大きく開けた状態で貼り付けます。閉じた状態で貼ると、開けた時に端がはがれてしまいます。上端が下口唇に少しかぶるくらいが適当です。一度剥がすと接着しにくくなりますのでご注意ください。 | |
軽く抑えて圧着させます。 | |
診療中、口腔からあふれる水分を吸水します。 | |
診療終了後は皮膚を押さえながらゆっくり剥がしてください。 |
【注意】当製品は吸水することで膨張します。
誤嚥すると窒息の可能性がありますので、口腔内には絶対に入れないでください。
剥がしたものは速やかに廃棄してください。再利用はできません。
「口腔ケアパット かばちん」は生まれたての製品です。
現在、主に訪問歯科診療時に使用していますが、特別な例を除いてはエプロンやタオルをかけず「口腔ケアパットかばちん」を貼り付けるだけで、診療しています。とても便利な製品で、たまに持参するのを忘れると、とても不便に感じます。
しかしまだ知名度も低く、量産態勢にありません。1 枚ずつ手作りをしており、必然的に1枚単価が高くなってしまっております。今後たくさんの方に知っていただき、使っていただくことで量産が可能になり、1枚単価を下げることができるようになると思います。よろしくお願いいたします。
大きさや形、吸水量や粘着度などお気づきの点がありましたらアンケート葉書やメールでお知らせください。皆様の貴重なご意見をいただきながら、より良い製品へと改良していきたいと思います。